アルプスの風/







アルプスの風・<愛流富寿>
愛と寿ぎが豊富に流れた一塁側アルプススタンドでした。
一塁内野席と外野スタンドの間、アルプス席と言われ、高校野球では応援団が入場します。
アルプスは応援席としては、ある面で聖地です。
全国47都道府県ある中で酔っぱらいが出るのは、沖縄県だけ?
ビールを飲まれることはあっても、酔うほどには飲む人はいません。
しかし、島酒を持ち込んでいらっしゃるのでしょうか、ご機嫌な方がいます。
チャンプルーに代表される沖縄料理文化、県民の意識でしょうか、
アルプスの雰囲気も独特です。イチャリバチョウデーが根底にあるのか、みんなが仲間意識に包まれています。点数が入ると抱き合って喜ぶ、知り合いかと思いきや、他人同士です。
共通項は沖縄県人というだけのことです。でもウチナンチューにとってはこれが大事なのです。
今日、アルプスでご一緒した高3生の女の子は、沖縄県の他の私立高校生です。
昨日、兵庫県入りして姫路に宿泊し試合後直行で帰られます。
まず、こういうケースの応援は陸続きで鉄道で来るのが可能なのにありえません。
思い立って急に来ることなど、考えられません。
今回、雨で一日順延になっていますから、飛行機を手配していたらアウトなわけです。
以前にも飛び込みの来客がありました。「今、東京です。伊丹に12時くらいに到着します」
「えっ!何しに!」「今から、甲子園に応援にいきます」と。
カチャシーのリズムがなり出すと、居ても立ってもいられない。たまらず、体が動き出すように、思い立ったら空港にいて甲子園に来ていた。
台風が来て、キビが倒れたら、年収は0。それでも、懲りずに、次の年にキビを作っている。
天の気、天気は人為の及ばぬところ、一生懸命に真面目にやれば、あとのことは「なんくるないさ~」と、大らかに悟ことができる、そんなところはナイチャー(本土の人)には理解できないのです。
 今日の試合は沖尚の応援です。応援に来ている人は、沖尚に縁もゆかりもない人が大半です。
離島の人もいます。二世、三世もいますから、沖縄の血も薄れています。
でも、ここにはふる里があり、ユイマールを求めに来ているのかもしれません。
沖尚の勝利というよりも、沖縄の勝利をめざしてここに集まって来ます。
どのチームが出場しても、ワッターウチナーのチームとして応援をします。
勝てば誰彼となく、握手し喜びを分かち合う、そして、素直に喜びあえる。
ふる里を思う気持ちは、日本一の県民意識のようです。
高校時代から、半世紀に渡って高校野球を観て来ています。
高校野球の観戦に来ると、若い血潮のエネルギィーが貰えるのです。
しかし、今日は応援団のど真ん中、沖尚野球部の横で応援してエネルギィーを吸い取られました。
この沖縄県人のパワーには脱帽です。