ジョン・Q
主演・デンゼル、ワシントン
映画解説の父、淀川長治さんの言葉を借りると、正に『映画っていいですね』という言葉がそのまま、ぴったりと当てはまる映画。『事実は小説よりも奇なり』ということで言うと、映画は映画であって、実際にはありえないことが見事なドラマ仕立て・映像・フィクション・俳優の演技・脚本・脚色によって、実際にありそうに思えてくるところに、夢とロマンをスクリーンの中に描くことができて、見るものに感動と夢を与えることができるのであろう。製作側と演じる側と見る側が一体となったとき、そこに感動が生まれ映画は成功したといえる。ジョン・Q(ジョン・クインシイというデンゼル・ワシントン演じる主役の名前)は映画の中でも、鑑賞者に対してもみんなを味方につけた。その点においても、この映画は成功作ということができる。
「親は子のために身代わりになって死ぬことができるだろうか?」この映画を単純に捕らえるとそのような主題になる。ご参考までに筆者は3時(3児)のあなたで3人の子供がいるが、はっきりいて子供の身代わりになって死ぬことができる。ということができる。ひょっとして、今までは漠然となんとなくそう思っていたことをこの映画を見てはっきりと認識したといえるかもしれない。もし、そであるならば、映画というものの教育力とは凄いともいえる。教育力が大袈裟ならば影響力といっても良いかもしれない。この映画を見た親は『子供のために死ねるか』と自問し、子供は「親は自分のために死んでくれるだろうか」と心の中で、ふっと考えるだろう。これは愛情の問題というよりも考え方・価値観の問題であるように思える。どちらにせよ、命の尊さ・生命の尊厳を考えるにはいい映画だと推奨できる。デンゼル・ワシントンの演技には心から拍手を贈りたい。我が子に最後のメッセージを送る場面で鼻先から雫のように落とす、あの涙は『男の涙』『親父の涙』で絶対、女には流せない涙だ。決して格好の良いもではなっかたが、美しさがあった。
教師にとって生徒たちに『どれだけいい点を取らせるかよりも、どれだけ感動させるかが大事な教育だろう』点数はたかが100点が限度、しかし、感動は生徒の人生を変えるかもしれない。映画人の直向さがいい映画をつくっている。塾人も直向な授業でいい人間を作っていって欲しい。直向とは正義に真っ直ぐ向きあうことだと思う。