高台寺の夜桜




日本人の精神の象徴

ぱっと花を咲かせた後、散って行く桜の儚さや潔さが非常に好まれている。

古くから桜は、諸行無常といった感覚にたとえられており、
ぱっと咲き、さっと散る姿ははかない人生を投影する対象となった。

江戸時代の国学者、本居宣長は「敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花」と詠み、
桜が「もののあはれ」などと基調とする日本人の精神具体的な例えとみなした。
また、潔よさを人の模範と見て、江戸時代以降しばしば武士道のたとえにされてきた。
ただし、そのようにすぐに花が散ってしまう様は、
家が長続きしないという想像を抱かせたため、意外と桜を家紋とした武家は少ない。



○ 吉野山 こずゑの花を見し日より 心は身にも そはずなりにき

○ 花みれば そのいはれとはなけれども 心のうちぞ 苦しかりける

○ 散る花を 惜しむ心やとどまりて また来ん春の たねになるべき

○ 願はくは 花の下(もと)にて春死なむ そのきさらぎの 望月のころ

○ 春風の 花を散らすと見る夢は 覚めても胸の さわぐなりけり

                                         西行